本紹介 春宵十話 ~人間の中心は情緒~

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■概要

本作は日本が誇る数学者の岡潔氏の作品で、1969年に発刊された作品になります。

著者の日本の教育に対する深い懸念から作られた作品であり、現代の日本人に読んでほしい作品になります。

岡潔先生に関して

1901年生まれの多変数複素関数論の研究で有名な日本を代表する数学者である。

数学者としてだけでなく教育者として大学で教鞭を取られたり、随筆を書かれたり日本の教育に対して尽力された方である。

■本の印象

■おすすめポイント

数学に対する取り組み方知ることができる

教育に対する考え方を学べることができる

文化や宗教などの見解を学べる

■どんな人におすすめか

・岡潔という数学者に興味がある方

教育に興味がある方

・思想や哲学、文化に対する考察が好きな方

■読んでみた感想(ネタバレ含みます)

特に印象に残ったのが「人間の中心は情緒である」と「本当は答案が合うことよりも、自分で合っていると認めることが大切」になります。

以下で説明したいと思います。

■人間の中心は情緒である

人が人である所以は思いやる心であり、それが情緒。しかし今の教育は思いやりの心を育てることを抜いてしまっている。ただ早く育てばよいのではない、それぞれの年齢で学ぶべきことがあるから人間は成長するのに時間がかかる。人の心がわからなければやることに緻密さがなくなる。子ども育てる際には他の心をよく汲むように導き、いろんな美しい話を聞かせ、なつかしさそのほかの情操を養い、正義や羞恥のセンスを育てる必要がある

上記は岡潔先生の情緒の大切さを説いた発言の抜粋です。

どうしても早く何かができるようになることを現代では重視されがちではあるが、他の動物とは違い人間は生まれてすぐ立ったり何かができるようになるわけではない。

その期間に学ぶべきことがあり、それが人を他の動物とは違うものしているというのは現代人が忘れている大切な視点ではないだろうか?

また、思いやる心が学問であれ何であれ緻密さに繋がるというのも興味深い

何かをやる際に誰のために何のためにやるのか目的を意識できているかそうでないかで行動が変わってしまう。

例えば彼女が彼氏に初めて手料理をふるまうときに、相手の好きな料理や苦手な食べ物を事前にリサーチして作るのか、そうしないで作るのかなど同じ料理を作るでも最終的に彼氏が喜ぶ度合いが変わるのではないだろうか?

上記のことは万事に通じており、つまり人間の中心は情緒という言葉に集約されるのかと腑に落ちました。

■本当は答案が合うことよりも、自分で合っていると認めることが大切

数学で大切なことは確かさ

自分で出した結果が確かかそうでないのかはっきり答えられることが大切

そうでなければ次の一歩を踏み出すことができない

上記は岡潔先生が数学を通して何かを理解することとはどういうことなのかの発言の抜粋です。

私たちは学校教育で正しい答案を記載することを求めらていました。しかし岡潔先生は正しい答案を記載できる力より、自分の書いた結果が本当にあっているのか自分で回答できることが大切だと説かれています。

世の中には学校のテストとは違い、1種類の答えしかないような課題はまずありません。そういった中では自分の考えや答えに対する確度がどれぐらいなのか自分で理解していないと考えや答えを深めたり他者に説明する能力が欠如してしまいます。

上記能力を磨く教育ができていないのではないかと警鐘を挙げており、上記能力が欠如してしまうと学問を深めたりすることができず、社外の損失に繋がるという考えです。

確からしさを自分で回答できるようになるという能力はいろんな場面で必要ですが私自身弱いなと感じており、印象に残ったため取り上げました。(数学を真面目に勉強すべきだったかな・・・)

■おわりに

春宵十話を紹介させていただきました。

教育に対する深い懸念がひしひしと伝わる、日本への愛を感じる作品でした。

現代人にとって耳の痛い話をたくさんがあるが、日本の教育について考えるきっかけになる作品だと思いますので是非お手に取って読んでいただけると幸いです。

読んでいただきありがとうございました。

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