■概要
本作は映画「ボビーフィッシャーを探して」のモデルになったチェスプレイヤー、中国拳法家という異色の経歴を持つジョッシュ・ウェイツキン氏の作品で、2015年に発刊された書籍になります。
日記のように自身の経験を通して何かを習得する方法を伝える体裁を取っています。
幼少期はチェス、大人になってからは中国拳法を極めるなど一見関係ない競技でそれぞれ一流の実績を残していることで内容の深みを読み手に感じさせる本になっています。
■構成
大きな章立てとして3個、細かい章立てが20個ある章立て構成になっています。
Ⅰ章:基礎
Ⅱ章:マイ・セカンド・アート
3章:すべてを一つにまとめる
ジョッシュ・ウェイツキン氏がチェスや中国拳法を学んだ人生を通して何かを習得すること際に大切な事や共通項を発信する構成になっています。
■本の印象
■おすすめポイント
・何かを習得する方法やコツを自身の経験を通して説明してくれる
・日記のような体裁でジョッシュ・ウェイツキン氏の人生を知ることができる
・チェスと中国拳法に関して好きな人
■どんな人におすすめか
・チェスに興味がある方
・中国拳法や武術に興味がある方
・何かを習得するコツを学びたい方
■読んでみた感想(ネタバレ含みます)
特に心に残った内容が2点あります。
一つ目は「自分を抑え込むのではなく、その時の気分にぴったりと周波数を合わせることで集中力を高めなければならない」、二つ目は「一つの技法についての洞察を徹底的に深めようとする道筋は、往々にして別の事物への深い考察をはらんでいる」になります。
それぞれ以下で説明します。
■一点目
優秀なパフォーマーは小さなミスから素晴らしい何かを創造することができる
今という瞬間に心を置いている状態なら、刻々と動き続ける時間と一緒に心も進み続けるものだが、ミスを犯したところでミスを犯す以前のよかった状態に心を止めてしまうと、そこから心と状況の乖離が幾重にも重なっていく
そうなった瞬間から、過去の記憶に向けられた片目は使えない状態でのままで、日常生活をおこなったり、チェスをしたり、道路を横断したりすることになる
そのときタクシーが突っ込んで来たらどうなるか・・・
上記は高いパフォーマンスを発揮するために必要な精神状態とはどういった状態かの発言です。
チェスであれ中国拳法であれ高いパフォーマンスを発揮するには心を止めないことが大切である。
つまり自分の気質と実際にミスなどが起きたときに発生する心理状態の調和を保つ方法を知ることが大切だということだ。
上記のような心理状態になるには何が起こったか理解するために対話して内省することが大切だと彼は説いています。
■二点目
一つの技法についての洞察を徹底的に深めようとする道筋は、往々にして別の事物への深い考察をはらんでいるものだ。
これを拡大して考えれば、チェス史上最高の攻撃的チェスを学べば、必然的に防御も細部にわたって深く理解できるということになる。
創造性の飛躍は技術的な基礎という土台があって初めて実現される
身について自然に使えるようになった知識に技術的な情報が統合されるプロセスを、本書では数を忘れるための数または型を忘れるための型と表現する。
どの分野でも基礎を大切にするという言葉がよく使われると思う。
その理由は、どんなに複雑な状況でも分解してみると基礎的な原理を応用したものだったりするからだ。
まずはその分野の基礎的な原理を理解し無意識に使用できるまで体に染み込ませることが高いレベルに到達するために必要不可欠だと学ぶことができました。
■おわりに
習得の情熱を紹介させていただきました。
何かを習得するには何をすべきかを自身の経験から説明しており中身に深みを感じた作品でした。
読んでいただきありがとうございました。
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